第8章 cruelty ■
タクシーに乗り込む俺たちを見て、ボーイが言った。
「っあ!待って、龍也さん送迎は?!」
「今日はいらねえ。」
バタン。
その後にヤマトくんの指定した場所を聞いて、
俺は唖然となる。
「っな?!…ホテル?つかそこラブホじゃね?」
「……はい。」
ヤマトくんは気まずそうにため息を吐いている。
まさかレオナ…
ついに篠崎社長と枕…?
俺がこないだ、
もう身体でいいんじゃね、とか言ったから?
で、なんかあったのか?
いや、考えられることと言ったら…
思ってたよりも耐えられなかったとか?
結構酒飲んで泥酔させられたとか?
でもあのレオナがそんなこと…。
「あぁ… レオナさん……
どうか無事でいて……」
その声の主を横目で見る。
ヤマトくんは頭を抱えて項垂れている。
かける言葉が見つからないなぁ。
なんでかって…未確かな思惑を言って変に触発するわけにもいかない。
ただ俺も、嫌な予感しかしなかった。
あのレオナがわざわざ泣きながら電話をかけてくるなんて、これは相当のSOSだと思ったからだ。