第8章 cruelty ■
「落ち着けって。深呼吸しろ。
何があったか話せ。」
「…わ、わからないんです…
ただ…な、泣いて、て……とにかく行きます!龍也さんはこれからアフターでしょう?あなたも早く出ないと」
そこまで聞いて俺は眉間に皺を寄せた。
なるほど…。
レオナに口止めされてるのか。
俺がアフターだのなんだの忙しいと知っててレオナは俺に気を遣って…
「俺も行くよ。」
「はぁっ?!ななに言って」
「アフターなんかいつでもできるしうまくやるさ。だって俺だよ?さぁ、早くしよ。…おい、響!」
ヤマトくんの腕を引っ張りながら、
信用している同僚の響を引き止める。
「お疲れ〜龍。どうした、そんな顔し」
「悪いが俺のアフター行ってくれ。奈緒さんたちとはお前も仲良いだろ?」
一瞬目を見開いた響は、俺の真剣な目を見てそこまでの何かがあったと察したのか、文句一つ言わずに笑った。
「オーケー。任せとけ龍。
指名料は高くつくが。」
「悪いな響。頼んだぞ。後日払う」
「冗談だし!あ、じゃあねヤマトくんっお疲れっ!」
女を惑わすような響のニヒルスマイルを横切ってすぐに外へ出てタクシーを呼び止めた。