第8章 cruelty ■
なんだろう…
おかしい…
心臓がバクバクうるさいし、
体が熱い。
酒の影響とは違う。
体の奥底が疼く感じ…
気持ち悪いとも違う…
「はぁっ…はぁ…っ…」
息が苦しい…
荒く呼吸をしながらチラと及川さんを見ると、
彼は明らかに不敵な笑みを浮かべていた。
もしかして…!
やら…れた…
このカクテルに何か…
「行こうか、レオナちゃん…」
「やっ…ど、どこへ…はっ離しっ」
「言いふらしてもいいの?
ズル休みしてまで、あのホストとそういう関係築いてますってこと。」
私はゆらりと揺れる視界の中、
その言葉だけが脳裏に響いて意識が遠のいた。
"…まるで全てをレオナに賭けてるみたいな感じ…かな…かなり狂気じみてる感じ。一見めちゃめちゃ善人て感じだけどね。大人の色気もあるし女はコロッとイッちゃいそうだけど。…だから気をつけた方がいいかもよ。"
龍ちゃんが前に言っていた言葉が脳裏に反芻された気がした。