第8章 cruelty ■
「嫉妬しちゃうなぁ。すごく…
ねえあんなホストやめて僕にしなよ。
将来有望だよ?僕はホストなんかとは違って社会的地位もあって信用もある。あんなクズ共より僕を選んだ方がどう考えても」
「クズじゃありません!」
つい声を荒らげてしまった。
けれど、何もこの世界を知らない人にバカにされるのは癪だ。
及川さんは私の睨みをきかせた目を真顔で見つめたまま言った。
「んん…君って…
容姿はそんなに美しいのに頭はあまり良くないのかな…
まぁだからキャバ嬢なんてやってるんだろうけど。」
その言葉にフツフツと怒りが込上げる。
やっぱりそうだ。
私がこの人をどうも苦手な理由。
言動行動の節々に、どこか私たちのことを下に見てバカにしているような素振りがあるからだ。
「とりあえずさぁ?今日はまだ付き合ってよ」
そう言ってニッと白い歯を見せる及川さんに私は眉を顰める。
「無理…です…。今日はもう帰ります」
そう言って席を立とうとした瞬間、くらりと目眩がした。
「大丈夫?」
そう言って及川さんに支えられる。