第8章 cruelty ■
「で、ねぇどうなの?
やっぱ付き合ってて同棲してんの?
あのホストと?ふふっ」
「ちっ、違います!
たまたまそのっ…」
同じマンション…などと言ってしまうと
龍ちゃんの身元までバレてしまう…
これはまずい。
そう思って何も言えなくなってしまった。
「ああ…そっか。
付き合ってて、で、君の家にお泊まりしたってわけ。」
「…そ、じゃなくて…」
「え、あぁじゃあなに?セフレってやつか!」
「しっしぃ〜…!」
声を大きくされたので、ついシーッなどと口に人差し指を立ててしまった。
それが及川さんにとっては肯定の意に見えたらしい。
あからさまに口角を上げられた。
「せ、セフレとかじゃなくって」
「ふぅん?…体調不良とか偽って、2人で仲良くお休みを合わせたんだね?」
「・・・」
違うけれど、そこは違くない。
何も言えなくなってしまった。