第8章 cruelty ■
「あの龍也の下について1から学べるなんてなかなかチャンスだと思うんだ。それに彼だって、やっちゃんのことすごく気に入っていたし。」
「…で、でもっ…」
彼はとても不安そうな顔をして目を逸らした。
ちなみに今は路肩に車を止めてコンビニの前でタバコを吸っている。
「あ、勘違いしないでね?
私はもちろんやっちゃんにはこれからもお世話になっていきたいとは思ってるよ?ただ、やっちゃんのためを思うとさ…。実家の御家族のためにもたくさん稼いでほしいんだよね。私も龍也も、あなたなら素質あると思ってるから提案してるんだけど…見た目もすごくいいし裏方はあまりにも勿体ないなって…。」
「は…い…」
とても神妙な面持ちのまま考え込んでしまったので私は急いで口を開いた。
「あっ!ごめん、もちろん無理にとは言わな」
「わかりました!」
突然顔を上げ真剣な表情になったので驚いて目を見開く。
「おふたりにそんなふうに言っていただけるなんて、僕ってそれほどってことっすよね?そこまでの贅沢を蹴るなんてことできませんから!」
「やっちゃん…無理と思ったらその場で帰っちゃって全然いいからね?」
「はいっ!決して迷惑かけないようには頑張りますけど、あまり期待しないでくださいね〜」
私が手を握って、応援してるから!
と言うと、彼は一気に顔を赤らめて目を泳がせた。