第7章 situation
「にしても…愚かな男だよね」
「…何の話?」
私が彼の方を向くと、
彼は冷たい目でなおもまだ下を見下ろしている。
「その男だよ。レオナを振ったって奴。
きっと彼はさ…すぐにまたレオナみたいな女が見つかると思ったんだろうね」
「……さぁ、どうだか…。」
「そうなんだよ、男ってのはさ。
で、最後にそいつは気付かされた。
レオナみたいな子はどこにもいないってね。」
「・・・」
「・・・」
長い沈黙が流れる。
何故か私は鼓動が早くなっていた。
「なに?…それ…」
「へ?なに?」
ポカンとした表情の龍ちゃんと目が合う。
私は苦笑い気味で言った。
「どういう発言よ…
私を落とそうとしてんの?」
「くくくっ…だったら?」
「は?冗談やめてよ。」
「女性を落とす練習に付き合ってよ」
「しょうがないなぁ…」
彼は突然隣に移動してきた。
私の髪を撫で、頬に触れてくるその指先の熱と、夜景に照らされる妖艶な表情に鼓動が少しだけ早くなった。
たとえ仕事だとしても、この男は女を落とす時どんなふうにするんだろうと考えた。