第1章 desire
バナナを齧っている私に龍ちゃんが言った。
「ふっ…その卑猥な光景…
俺が見られるなんて光栄だね。レオナの客たちが見たら、さぞ興奮するだろうね、はははは」
「…ふざけんな。キショい」
「ごめっ…ふはっ!あ〜そろそろジャンケンしようか?」
「「さーいしょはグー!ジャーンケンポイ!」」
「あっ、負けたーうう」
「よっっしゃあ!俺の勝ちィ〜!
今日さぁ〜あれが来たんだよ!ほらこないだ言ったあのバーキン女!でさぁ、そのあとにシャネラーのあの子も来たんだけど、俺、5卓も指名被ってて、だから7卓になっちゃったのね、そしたらー…」
私たちはいつも、こうやってジャンケンでどちらが先に愚痴を言い、聞くのかを決める。
決め方はふざけてるけど、互いの愚痴や悩みや、諸々をとても真剣に聞いて時にはアドバイスをする。
こう言った場合の連絡、メールの仕方はどうとか、
対応の仕方はどうとか、
男に関してはもちろん彼の方がよく知っているし、女に関していえば私の方がよく知っている。
だから私たちの仲は互いを高め合い、利用し合う、
いわゆるそれだけの関係だ。