第7章 situation
「じゃー次、俺の番。
レオナが我慢できないこととか腹立つこととかって、何?」
「あー、そんなのたくさんあるよ?
もう何もかも全てだよ」
「具体的に話せよー」
「えー…例えば…そうだなぁ…
女に対して、お前って言う男とか。
龍ちゃんは絶対言わないから素晴らしいと思うわ。」
「それは絶対言わないね。言ったこともない。
女性に対して失礼極まりない。クズすぎる。」
俺は、女性に対して"お前"呼ばわりは絶対にしない。
そこには人間性が表れていると思っている。
嫁さんとか彼女をそう呼ぶ男。
男の方が女より上だと思っているのだろう。
または、お前呼ばわりされたいと言う女もいるけど
そこにも人間性が表れている。
あまり良い恋愛はできてないだろう。
「ふふっ、さすが。」
「他には?」
レオナは真剣な顔で窓の外を見た。
釣られて俺も視線を移す。
行き交う人々と様々な車たちの流れ。
これが世界一平和な国と言われている今の日本の情景だ。
「ここから何百キロ何千キロも離れたところで戦争してることとか。大勢が死んでいて、飢えている人たちがたくさんいる国もある。それに対して人々が無関心なこと。
私も何もできていないかもだけど…でも寄付くらいはしてるの。それしかできないから」
静かに言ったその言葉に、俺は目を見開いた。
え、レオナはそんなことしてたのか?
初耳だよ。