第7章 situation
「まぁ…恋愛はややこしいテーマではあるよね」
「うん…。でも…愛してると言ったことはあるよ。
そのときは俺は真剣だったけど…今思うと本当に美しい愛だったのかわからない。違う気がするんだ。なんとなくね…。」
「そうだね…私も愛ってわからない。
とくにこういう仕事をしていると…。」
こんなことを真剣に話して、
そして分かり合えるのも俺らだけだろうなと思った。
「まぁこれもありがちだけど、
俺の初恋は近所のおねーさん。すっげー綺麗だったんだ。今思うとあれはキャバ嬢だったね」
「ふふふっ。さぞ売れっ子だったんだろうね。」
「間違いないね。今のレオナくらい綺麗だったかも。
で、ある日その人が男の人に腕絡ませて歩いてるとこ見かけて俺は失恋したってわけ。」
「で?今思うとそれは客だったかもって?」
「そのとーり」
俺らはまた同時に笑った。