第1章 desire
睡眠は妨げられたが、龍ちゃんだけは許す。
龍ちゃんとは知り合ってからまだ2ヶ月しか経ってない。
でもこうして互いの仕事終わりにはしょっちゅう会っている。
会えるのはお互いこのくらいの時間から朝方。
別に何するわけじゃない。
ただ、愚痴を言い合って、情報交換して、互いを高め合うためだけ慰め合うためだけの存在。
互いの本名だって知らない。
龍ちゃんは私と同じ夜の街のホスト界No.1。
私と同じくらい有名人で、私と同じくらい雑誌にも取り上げられている。
顔は少しハーフっぽくも見えるいわゆる普通にというか、かなりのイケメン。
髪は上品な黒髪で変にキザっぽくなく、とても綺麗だ。
背は187cmでかなりの長身。そして細身。
歳は私と同い歳。
そして私たちは…
実はたまたま同じマンションだった。
確かにこのマンションなんて、芸能人とか社長とか、あるいは私たちみたいな夜の世界でNo.1くらいの位置にいる高給取りじゃないと住めないくらいの家賃ではあるけれど…
夜の街とも近いし、セキュリティ云々や、周りの環境、交通の便も当然良いし、ジムやプールなどなど併設。
まぁ納得ではある。