第6章 blunder
「なぜって、ここ俺のマンションでもあるから」
もうこう言うしかないよね。
ボーイはさぞ驚いた顔で何度も目を瞬かせている。
驚くのも無理はない。
「あのっ… レオナさんとは…もしかして…」
「いやいや、安心して。そーゆー関係じゃないよ」
俺は営業スマイルさながらの笑みを向けた。
彼は硬直しているが若干安堵の表情を浮かべたのを俺は見逃さなかった。
「君、名前は?」
「っ、ヤマト…です」
「ヤマトくん、ありがとね。」
「えっ?いや礼を言われることでは…
仕事ですし、僕はレオナさんの専属なので。」
「ほぉ。そうなんだ。それより君すごくイケメンだね。
うちに引き抜きたいなぁ。なんでボーイやってるの?君はどう見ても表方の男だと思うけどー」
あ…まずい…
ちょっと余計なこと言っちゃったかな?
でもイケメン見るとついスカウトしたくなる。
「僕は一生レオナさんだけについて行くと決めてますので。」
狼狽するかと思いきや、意外にもこの子はニッコリ笑って答えた。
狼狽してしまったのは俺の方だった。