第6章 blunder
帰りの車内で・・・
私は目眩を引き起こしてしまっていた。
やはりまだ酒が抜けきれていない。
そもそも酒が体質に合わない私は、1度こうなると回復までかなり時間を要するのだ。
さっきパインジュースを飲んでしまったせいもあるかもしれないが、とにかく気持ち悪くて胃液が込み上げてくる…
ついに車内のシートに寝そべってしまった。
「えっ…あれっ… レオナさん?
大丈夫です??…寝ちゃった?」
「あー…ごめ…ちょっと気持ち悪くて…」
「えぇっ?!もう少しで自宅なので頑張ってくださいっ」
NO.1失格だ……
そう思った。
常に完璧でいなくてはいけないのに。
なにもかもを、何歩も先行った存在であらねばならないのに。
誰にも幻滅されたくない。誰にもみくびられたくない。誰にも心配されたくない。
私の価値を失いたくない。
数分後・・・
マンション前に到着したようで、
やっちゃんが後ろの座席に来た。
「大丈夫ですか?」
顔を覗き込まれて私は虚ろな目で何度か頷く。
が、体に力が入らない。
「……大丈夫じゃないですね。
僕、部屋まで運びますよ」
そう言ってやっちゃんが私のバッグを持ってから
何かを言った気がしたが、そこで意識が途絶えた。