第6章 blunder
もう本当に可愛い子だなぁ。
一緒にいるだけで、そのコロコロ変わる表情と純粋無垢な感じがなんとも癒される。
私はやっちゃんを見ているだけで満足だった。
しかし…そんな彼がなぜこんな世界に?
そういえばまだ聞いたことがなかった。
ただ貯金がしたいんだとしか…
「ねぇそういえばやっちゃんて、どうして夜の世界に入ったの?」
やっちゃんは驚いたように目を丸くし、ベーコンをアイスコーヒーで流し込んでから口を開いた。
「…あー…その…
僕、実は兄弟が多くて…で、片親なんすよね。昔から母親しかいなくて…だからその…なるべく多くお金を送りたいからこの職いいかなって…」
予想外にもシリアスな話に私は黙り込んでしまった。
「もうすぐ双子の妹2人が大学進学するし…」
「……なるほど。じゃあホストの方がよかったんじゃないの?」
「考えたことはあります。でも僕には絶対に無理ですよ。」
「そんなことないよ、イケメンだし愛想あるし」
「無理です無理です。単純に、どんな女性の機嫌もとるとかあんな器用なことできないです!だからほんっとホストもキャバも、できる人は尊敬します。」
やっちゃんは真剣に言った。