第6章 blunder
気が着いた頃には朝になっていた。
「あ!起きましたね!
大丈夫ですかぁ〜??」
「っ?!」
ソファーから急いで起き上がる。
やっちゃんがミネラルウォーターを差し出してきた。
「寝ちゃっ…てたんだ…」
「はい。今店内にはだ〜れもいませんよ!鍵も預かりました!」
やっちゃんが見せてくる鍵と、窓ガラスから見える陽射しに、自分は何をやっているんだとため息を吐いた。
「…ずっとついていてくれたの?」
「そりゃあもちろん。」
「ごめん、ありがとう…
帰ってくれててよかったのに…」
「そーゆーわけにいきませんよ!
それに僕はレオナさんの専属ですし!」
どこか自慢げにそう言って笑っている。
そんな優しいやっちゃんにもう一度礼を言ってからまだ重い頭を叩いた。
酒に飲まれるのなんか、どのくらいぶりだろう。
元々酒に強くはない。いや、どちらかというか弱い方だ。
だから常に気をつけていて、こっそりとノンアルコールを作ってもらってそればかりを飲んでいる。
私の常連のお客様たちは知っているから、もともと無理強いはしない。
しかし今回はなんだろう……
疲れていたのかな。思考がいつも通り機能していなかったのかも。