第1章 高校2年の春ー転校生ー
席替えをして男女交互に座ると私は不死川先生とは離れてしまう
「りほちゃん可愛いよねー」
「そんなことないですよ」
「えー俺タイプだなぁ」
酔っ払った人の相手を適当にしつつ不死川先生を見るとそちらもめんどくさそうに相手をしていた
「実弥くんって彼女いないのー?」
「いねぇ」
「えーじゃぁ狙っちゃおうかなぁー」
不死川先生の腕に巻きついた女の人の腕をウザそうに見る目につい笑いが出そうになる
「りほちゃーん?不死川ばっか見ないで俺のこと見てよ〜」
「え?」
「この後、2人で抜けない?」
は?と私は固まる
「いや、そろそろ帰らなきゃ...」
「なに?門限とかあんの?」
「そういう訳じゃないけど...」
ここにいたらマズイと思った
私は鞄を持って立ち上がると男の人に腕を掴まれる
「なら一緒に抜けよ?」
「っ、」
すると握られた腕が軽くなる
「俺、こいつ送るから」
「え?不死川?」
「後は残りで楽しめよぉ」
不死川先生は私の腕を握ったまま店を出た
街灯に照らされて夜道に映る2人の影
「せんせぇ」
「おまえは流されそうでハラハラするわ」
「だってこういうの初めてだからどうしていいかわかんない」
「だったら最初から来んなよなぁ」
不死川先生、ちょっと怒ってる?
「怒ってます?」
「あぁ」
「生徒がこんなとこにいるから?」
「まぁな」
なんだ、それだけか...なんて思ってしまった私の頭の中はお花畑なのかな
「高田にはまだ合コンなんて早ぇよ」
「先生はめんどくさそうにしてましたね」
なんて笑ってみせると先生は自分の腕を顔に押し当てていた
「香水くせぇ」
「あーべたべたされてましたもんね」
至極不快な顔をしている
「先生ってどんな人が好きなんですか?」
「は?」
「いや、合コンのノリで聞いただけですけど」
不死川先生は少し考えて答えてくれた
「香水臭くねぇやつ」
「あはは!根に持ってるんだぁ」
おかしくて笑う私
「何笑ってんだぁ」
「先生すっごく嫌そうな顔してたんだもん!」
「あー見てたのか」
なんか恥ずかしそうに頬をかく不死川先生は目を逸らした