第3章 高校2年の夏休みー深まる絆ー
あの日以来本当に兄に距離を置かれているようで会っていない
時々帰ってきてるようだが、私が家にいない時間を見計らっているようだ
私が帰って脱衣所に行くと洗濯物が置かれている
着替えを取りに来たのだろう
兄はもともと色んな女の人の家を出入りしていたので、きっとその人たちのところに行っているのだろうと思った
女の人には困ってない兄が義妹である私に対してあんなことをするのが不思議だ
なにを考えているのかがわからなかった
しかし、あまりこんな事を考えていると顔に出ているのか実弥先生の機嫌が悪くなる
私は出来るだけ考えないように努めていた
学校生活はというと
「明日から夏休みだが、気を緩めすぎないように!課題も早めに終わらせんだぞ」
帰りのHRで煉獄先生が夏休みの間の過ごし方を指導している
私はカナヲやアオイと夏休み遊ぶ約束をしているのでそれが楽しみになっていた
夏休みだからといって実弥先生は仕事が休みなわけではないので会えるのはやはり週末
学校で会えない分会える時間が少なくなるのだが、課題が早く終わったら旅行に連れて行ってくれると約束をしてくれたのだ
それが今から楽しみで仕方がない
旅行なんて学校の修学旅行以外で行ったことがない
家族旅行なんて以ての外
両親忙しい上に仲も悪かったせいで一度も行ったことがなかったのだ
帰りにクラスの友達達とファーストフード店に寄り早速課題を広げる
分からない所を教えあったりして少しずつやっていくうちに17時を回っていた
「あ、私帰らなきゃ」
「じゃ私たちも帰ろうかー」
私は家のご飯の支度をする為に皆んなより先に店を出た
「よぉ」
帰っていると背後から誰かに声をかけられる
振り向くとそこには玄弥くんがいた
「なに?今帰り?」
「うん。友達と課題してたんだ」
「うぇぇよくやるよなぁ」
「玄弥くんも早めに終わらせないと実弥先生に怒られるんじゃない?」
そう言うと「そうなんだよなぁ」と肩を落としている玄弥くんについ笑いが出てしまう
「ふふ、教師のお兄ちゃんがいると大変だね」
「数学だけは早めに終わらせるけどさぁ」
そんな風に話しているとマンションにたどり着いた
そこにはちょうど帰宅してきた実弥先生もいた
「兄貴!」
「おぉ...珍しいな2人が一緒にいるなんてよぉ」
「たまたま会ったんだよ」
「へぇ」
