第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
ぽろぽろと涙を流すと唇が解放される
「りほ...」
「な、んで...こんなこと、する、のぉ」
力が入らず私の腕は兄に掴まれたまま
涙を流しながら私は必死に問いかけた
「もぉ...我慢できねぇんだよ」
「え...」
「前に彼氏ができた時は変わらなかったのに...今の彼氏ができたら毎日毎日幸せそうな顔してよ...俺じゃおまえを幸せにしてやれねぇって思うと、もう我慢できなくなった」
兄の腕を掴む力が強くて少し痛い
それよりも兄を苦しませていたのは自分なんだと分かると胸がもっと痛くなった
「お兄ちゃん...」
「ごめんな、兄ちゃんにちゃんとなってやれなくて」
兄はそのまま家を出て行ってしまった
私は後を追うことが出来ずにその場に立ち尽くした