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赤い糸

第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー


「されたのは、キスだけか?」
「...はい。そのあとお兄ちゃん、どこかに行ってしまって帰ってこなかったんです」
「そうか」
「お兄ちゃん、私のこと一度だって妹だと、思ったことないって...」
「やっぱりなぁ」
「?やっぱり...?」

実弥先生はわかってたかのように話すので私は彼の目を見つめた

「初めて会った時から兄貴がおまえに向ける表情が、妹を見る目じゃなかったんだよ」
「え?」
「俺に対して『こいつは俺のモノだから近づくな』って目ぇしてたなぁ」
「そんな...」

知らなかった
実弥先生は最初から兄の事を警戒していたんだ
でも、合コンなんて行かせたのは何故だろう
自分のモノだって言いたいならそんな所に私を連れて行くのかな
私は疑問に思った

「なに険しい顔してんだぁ?」

実弥先生の指が私の皺の寄った眉間を押してくる

「私、どうしたら...」
「何もしなくていいんじゃねぇか?」
「でも、」
「兄貴も今は自分から距離取ってんだろうぜ?だから家にも帰らないんだろ」

そうなのかな...
あんな事をされてもやっぱり兄のことは心配で
どこで何をしているのか
ご飯はちゃんと食べているのか
大学には行っているのか

頭には兄のことでいっぱいになっていた
すると実弥先生が私に覆い被さるように手をついた

「彼氏の前でなーに兄貴のことばっかり考えてんだぁ」
「え、そんな...」
「俺以外の男のことで悩むな」

そう言って実弥先生に唇を奪われる
それは甘くて深い優しいキス

「ん...」
「俺のことだけ考えてればいいんだよ」

実弥先生は私の不安な気持ちを取り除いてくれる
私は実弥先生の首に腕を巻きつけた

「私を実弥先生でいっぱいにして」
「ばーか!学校の保健室で煽んなよ」
「あっ!?そんなつもりじゃ...!」

実弥先生の言葉に顔を赤くすると耳元で囁かれる

「週末楽しみにしとけ?俺以外考えられねぇようにしてやる」

思わず手で顔を隠す
そんなこと言われると今から心臓がもたない!
実弥先生は私の手の甲にキスを落とし
「落ち着いたら次から授業出ろよ」と言って保健室を出て行ってひまった

こんな顔で授業に出れるわけもなく、結局3限目も保健室で過ごして4限から授業に参加することにしたのだった
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