第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
母は明日も早いからと21時には自室に行って寝てしまった
私はリビングのソファでテレビを見ているとうとうととしてつい寝てしまっていたらしい
だから気付かなかった
実弥先生とキスをする夢を見た
触れるだけのキス
でも、夢なのに妙にリアルで感触が残っている
目を覚ますとテレビは消されて体には毛布が掛かっていた
兄がしてくれたのだろうと思ったけど、その兄もそこには居なかった
私は唇に残るキスの感触に不思議に思ったがきっと朝まで実弥先生と一緒にいたからだろうと深く考えずに部屋でちゃんと寝ることにした
翌朝教室に入ると既にカナヲやアオイちゃんが居た
するとアオイちゃんが私の首に目をやって言ってきた
「どうしたの?ここ、虫にでも噛まれた?」
「え?」
「ほら鏡で見てみて」
手鏡を渡されて私は自身の首を写した
そこには虫刺されにも見えなくはないがこれはあの痕だとわかった
「ちょっと用事思い出したから行ってくるね」
そう言って私は数学準備室に向かう
「先生!」
勢いよく開けた扉だったが、そこには実弥先生しかいなくてよかったと思った
「なんだよ急に」
「ちょっとこんなとこに痕つけないでくださいよ」
「は?」
私は髪の毛を持ち上げて首に指を指した
「なんだこれ」
「なんだこれって先生が付けたんでしょ!?」
「あぁ?俺が?つけてねぇよ」
「え?」
「これ虫刺され、ではねぇよな」
実弥先生の顔が険しくなる
私は意味が分からず目をパチパチとさせた
「誰につけられたぁ」
「は?先生以外誰がいるんですか」
「俺は見えるとこにつけねぇよ」
全然心当たりがなくて怖くなってくる
「...おまえ、昨日ちゃんと部屋で寝てたか?」
「あ...リビングでうたた寝してました」
そう言うと実弥先生は深いため息を吐いた
「どういうことですか?」
「...それ付けたの兄貴じゃねぇのか」
実弥先生の言葉を疑う
兄が?どうして
「そんなわけ...」
「それ以外考えられねぇよ」
「でもっ!」
その時昨夜の夢を思い出す
リアルなキスの夢
唇を押さえてると実弥先生は私の手を掴んでくる
「まさか、口にもされたのか」
「わ、かんない...でも、夢で...なんかリアルで」
「はぁ...おまえの首のやつ兄貴のマーキングだな。りほに男が出来たと思って付けたんだろーよ」
