第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
昼過ぎに家に帰ると兄はすでにバイトに行っているようで母しかいなかった
母は日頃の疲れからかテレビをつけたままソファで横になっている
私は毛布を部屋から持ってきて母に掛けてやった
するとそれに気付いて目を覚ます母
「ん...帰ってきてたの?」
「うん、ただいま」
「おかえり。お昼は食べた?」
「食べてきたよ」
母は伸びをして起き上がる
「もう少し寝てなよ」
「うーん、仕事持ち帰ってきちゃったから残り仕上げなきゃ」
そう言ってダイニングテーブルを見るとそこには資料とパソコンが置かれたままだった
「あんまり無理しないでね」
「大丈夫よ!少し寝たから元気でたし」
母は毎日毎日仕事漬けだ
体がそんなに丈夫って程でもないので、心配になる
「夕飯なにか食べたいものある?」
私が母に問いかけると少し頭を捻って考える
「そうねぇ、ハンバーグ食べたいかな」
「はーい」
丁度挽肉は買ってあったし良かった
少しでも母の力になればと思い好きなものを食べさせてあげたい
私がバイトもしないでいれるのは母が会社員として朝から晩まで働いてくれているから
本当はバイトをして自分のことは自分でしたかったが、学業に専念してと母にお願いされてしまったからバイトは断念した
夕飯の準備をしていると兄が帰ってきた
「ただいま」
「おかえり、今日は帰りが早かったね」
「あー朝からバイトだったから早く上がらせてもらえたんだ」
そう言って兄はキッチンに入ってきて私の横に立つ
ダイニングには母がいる
「ねぇ彼氏ん家行ってたんだろ?」
やっぱり疑ってたか
「友達の家だってば」
「へぇー友達、ねぇ?」
「なによ」
「なんでもー?」
意味深な返事に私は眉間に皺を寄せる
兄は「風呂入ってくる」と言って私の横から去って行った
「お母さんもうすぐ出来るからそこ片付けて」
「はいはーい」
焼き上がったハンバーグを皿に盛りサラダを添える
スープもカップに注いでご飯をお茶碗に盛った
日曜日だけは母も一緒に食事ができる時間だ
この時に学校であったこと友達との話など近況報告をしている