第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
「違うからな!昔の話だ!最近はそんなことしてねぇよ!」
「なに?今度の女はそんなこと気にするタイプなの?」
と玄弥くんが実弥先生の後ろにいる私を覗き込むように顔を向けてきた
「あれ?この子...転校生...?」
玄弥くんは実弥先生を見つめる
「はぁ...そうだよ」
「は?兄貴!生徒に手だしたのかよ!」
軽蔑の眼差しに実弥先生は頭を抱える
「違ぇ!いや、違くはないけどな...こいつの事は本気だから」
本気だからと言った実弥先生の耳が赤いのが後ろからでも分かる
きっと今まで遊んできた人たちとは違うと言いたいのだろう
自惚れかもしれないが、そう思いたかった
「玄弥、誰にも言うなよ」
「こんなこと言うわけねぇだろ」
私は実弥先生の後ろから少し前に出て玄弥くんに挨拶をする
「あの、話すのは初めて、だよね?高田りほです」
「あー...よろしく」
挨拶をすると何故か顔を赤くする玄弥くん
それに睨みつける実弥先生
「おい玄弥ぁ!なに赤くなってんだぁ?りほは俺のだからな!」
「わかってるよ!」
そんな会話をして部屋の前から移動してリビングに向かった
「へぇーおまえ同じ階なのか!気付かなかったなぁ」
「私家出るの早いから」
「そっか俺ギリギリまで家にいるから」
実弥先生が朝食の準備をしている間私たちは学校の話などをしていた
すぐに仲良くなれた私は嬉しかった
しかし、それを実弥先生はあまりよく思わなかったようで焼けたトーストの皿をドンっと玄弥くんの前に置いた
凄く不機嫌なオーラが出ている
「兄貴ヤキモチ妬くなよ」
「俺の女だって忘れんなよ」
「はいはい」
玄弥くんは熱々のトーストを手に取り頬張る
私の前にも置かれたトースト
そして隣には実弥先生が座る
「いただきます」
「今日は何時頃に帰るか?」
「んーお兄ちゃんが多分昼までいるだろうからその後くらいには」
「そうか」
母より厄介なのが兄の方だ
昨日の感じからしてきっと帰ってきたら色々聞いてくるに違いない
出来ればあまり会わないようにしておきたい
「それまで居ても大丈夫ですか?」
「あぁ、もう玄弥にもバレたしな...俺の家なら好きにしといていいぞ」
「ありがとうございます」