第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
週末学校から帰ると家には兄がいた
バイトに行く様子もなくソファで寛いでいる
「お、お兄ちゃん?バイトは?」
私は焦って兄に確認する
「あーシフト変更なって休みになったんだ」
「そうなんだ。あ、私今日友達の所に泊まりに行くからね」
「え?そーなの?」
「冷蔵庫にある残り物適当食べといて」
「りょーかーい」
兄はまたテレビに視線を送る
その隙に準備を済ませ18時半に家を出ようとしたら兄が玄関まで見送りに来た
「友達に迷惑かけんなよ」
「大丈夫だよ」
そう言って兄は玄関の外まで見送ってくれるのだが、実弥先生の部屋は同じ階の角部屋
ウチから見える位置にあるので私は仕方なく一度エレベーターで一階まで降りることにした
一応外に出て上を見てみると兄が手を振っている
いつもならそんな事しないのに今日に限って何故
私は仕方なく駅の方まで歩いて行くことにした
お泊まりバックを持って駅の近くを彷徨くなんて家出少女状態だ
スマホを取り出し実弥先生に電話をかける
『おまえいつになったら来るんだよ』
『それが...』
私が事情を説明すると実弥先生は小さくため息を吐いた
『おまえの兄貴なかなか過保護だなぁ』
『いや、今日は特別で』
『駅にいるんだろ?』
『はい』
『迎えに行ってやるから待ってろ』
そう言って電話を切られ10分足らずで実弥先生の車が駅前ロータリーに止まる
「ほら、乗れよ」
窓を開けて実弥先生が私を車に乗せてくれた
「わざわざすいません」
「気にすんな」
「多分兄貴疑ってんな」
実弥先生は運転しながら私に言った
「え?」
「おまえが男の家に行くと思ってんだよ」
「そんなぁ」
「マンション着いたら鍵渡すから先に部屋入っとけ。俺は少ししてから行くから」
「はい」
車を駐車場に止め先に私だけ車を出る
エレベーターに乗り7階に着くと警戒しながら実弥先生の部屋に行く
流石にもう兄はいなくて安心した
受け取った鍵で部屋に入ると分かってはいたけど誰もいない
「おじゃましまーす」
遠慮がちにそう言ってリビングに続く廊下を歩く
誰もいないリビングに立っていると実弥先生が5分後くらいに家に入ってきた
「何つったってんだよ」
「いや、人の家で勝手に寛ぐのもちょっと」
「一々気にすんなよなぁ」
実弥先生は私の荷物を奪って先生の部屋に運んでくれた
