第1章 高校2年の春ー転校生ー
今日から授業が始まるのだが、私が嫌なのは昼休み
友達のいない私は一人弁当を食べなければならない
クラスの皆んなはそれぞれ友達と喋りながら机をくっつけたりして弁当を開け始めてる
私はそんな空気が嫌で弁当を持って教室を出た
田舎の高校の時はよく屋上で友達と弁当を食べてくっちゃべってたなぁと思い返しながら足を進める
屋上に続く階段を登るとすでに先客がいた
「あ、」
ここはどうやら先生たちの喫煙所になっているようで一人タバコを咥えたあの人がいた
「あぁ?おまえここ生徒は立ち入り禁止だぞ」
「そうなん、ですか?」
「あーおまえ転校生かぁ」
そう言ってタバコを吹かす先生
「あの、今日だけここでお弁当食べてもいいですか?」
「ん、まぁ今日だけな」
見た目によらず案外優しい先生にほっとした
私は適当に日陰になる所に座り弁当を広げる
「お、うまそうだな」
そう言って覗き込んでくる先生
「食べます?」
「いや、いい」
「先生って名前なんて言うんですか?」
「あ?不死川だ」
「不死川、先生...」
「ちなみに数学担当な」
「そうなんだ」
しゃがみ込む不死川先生
見られてたら非常に食べにくい
「...何してるんですか」
「一人で寂しくねえのか」
「...そりゃ、寂しいですけど...教室にいるよりはマシです」
「そうか」
不死川先生からほんのりタバコの匂いがするが嫌な匂いじゃない
「そういえば、先生...」
「なんだ」
「この前女の人に叩かれてましたよね」
「は!?」
その言葉に非常に驚いた様子で私を見る
「マンションの下のコンビニんとこで...」
「おまえ..見てたのか?」
「そりゃあんな大きな声でやりとりしてたら目もいきますよ」
不死川先生は顔に掌を当てて「やっちまった」と呟く
「あのあと大丈夫だったんですか?」
「おまえが心配することじゃねぇよ」
「あの、先生...浮気したんですか?」
「っ!ばっか!おまえ浮気じゃねぇよ!」
「でも、あの人そう言ってましたけど」
「あの女が勝手にそう言ってるだけだ。元々付き合ってすらねぇしあいつが勘違いしてたんだよ」
「...ふーん」
私は信じられずにお弁当に視線を移すと不死川先生に頬をつねられた
「いひゃい」
「おまえ信じてねぇだろ」
「男の人はみんな浮気するもんだと思ってます」
「は?」
