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赤い糸

第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー


家に帰ると兄はもう帰ってきていた

「おかえり、どこ行ってたんだ?」
「あーー...友達が近くに来てて少し話してたんだ」
「ふーん」

兄は適当に相槌を打って私がいるキッチンに来る

「今日の夕飯なに?」
「チキン南蛮だよ」

「よっしゃー」と嬉しそうにガッツポーズする兄に私はつい笑ってしまった

「子供みたい」
「んだよ、喜んで悪いか?」
「そんなことないよ」
「りほの作るご飯旨いからなんでも喜ぶぜ」

そう兄はいつも私が作るご飯を喜んで食べてくれる
こんなに喜んでくれるならどれだけでも作ってやろうと思う

「先に風呂入ってくるわ」
「うん」

兄は風呂場に行ってしまった
スマホに目を通すとメッセージがきている

『今から飯作る』
『何作るんですか?』
『唐揚げ』
『うちはチキン南蛮ですよ』
『今度食わせろ』
『了解!』

こんなやりとりさえ頬がにやける
キッチンにかけているエプロンを手に取り身につけて冷蔵庫から材料を取り出し調理を始める

調理をしていると兄が風呂からあがってきた
上半身裸に首からタオルをかけている

「ちょっとお兄ちゃん服着てきてよ」
「なに?恥ずかしいお年頃?」
「もぉ!」

兄はニヤニヤして私を見るが私は目のやり場に困ってしまう
男の人の身体
妹の私から見ても兄は顔立ちもよく体つきも逞しい
年頃の私には少し刺激が強くて調理に集中することにしたのに兄はそのままキッチンに入ってくるのだ

「だーかーらぁ!服!着て!」
「暑いんだよぉ」
「だからって私の前でそんな格好しないでよ」
「なんなら隅々まで見てもいいんだぜ?」
「やめてよ」

しつこい兄にちょっと怒ってしまう

「別に男の裸初めて見るわけじゃねぇだろ?」
「...そうだけど」

小さくそう言ったのが間違いだった

「なに!?やっぱりりほ経験してるわけ?」
「え、」
「いやー久しぶり会ったら女の顔してるからそうなのかなーって思ったけどよぉ!そーかそーか!赤飯炊くか?」
「ちょっと!煩い!あっち行ってて!」
「はーい」

春に久しぶり会った時にそんなこと思われていたなんて、思ってもいなかった
そりゃ兄が大学進学で家を出てから全然会ってなかったけども
その間に私も大人の階段登ったけども
兄の軽い性格にはたまに悩まされる


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