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赤い糸

第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー


優しいキスが上から降り注がれる

「んっ」

キスがこんなに気持ちいいだなんて初めて知った
頭がぽーっとする

「目が蕩けてるぜ」
「っん...だって」
「ん?」

気持ちいだなんて言えない
恥ずかしくて目を逸らすと顔を固定される

「こっち見ろよ」
「さ、ねみ先生」
「可愛いな」

チュッと最後に唇を啄むようなキスをしてギュッと抱きしめられた

「あの...そろそろ帰ってご飯作らないと...」
「んー」

抱きしめられたままで実弥先生は離してくれない

「離れたくねぇなぁ」
「...私も、だけど...今日お兄ちゃんバイトないからもうすぐ帰って来ちゃう」
「兄貴か...そーいやりほと似てねぇよな」

実弥先生は少し離れて私の顔をみた
それには理由があるのだが

「あー...お兄ちゃんと私、血が繋がってないんですよ」
「は?」
「お兄ちゃん、お父さんの連れ子で...私が小6の時に親が再婚して」
「おまえん家複雑だな」

そうだ
小2の時に私の本当の父親とは離婚していて、小学校6年生で親は再婚
その父親の連れ子が義兄の智樹だ
でも、本当の兄のように接してくれて優しくて私は兄に懐いている

「そっか...血、繋がってねぇのか...」
「でも!本当のお兄ちゃんみたいに優しくて頼りになるんですよ」
「女癖は悪いみたいだがな」
「それがなかったら本当によかったんだけど」

私が困ったように笑うと実弥先生がもう一度抱きしめてくれる
私も応えるように先生の背中に腕を回した

「まぁ...大事な兄貴が帰ってくんなら今日は帰してやらねぇとなぁ」

名残惜しそうに実弥先生が私を離した

玄関まで見送ってくれて私は靴を履く

最後に触れるだけのキスをして手を振った

「また明日」
「あぁ」

すぐ近くにいるのに、隠れるように会わなきゃいけないもどかしさ
離れるのがこんなに寂しく感じるなんて
私は実弥先生が本当に好きになったんだと思った
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