第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
「ココアでいいか?」
「なんでもいいです!」
ココアなんてゆっくり飲んでる気分じゃない
早くこっちに来てくれないかなと膝に乗せた拳に力が入る
「高田だから何怒ってんだよ」
不死川先生は湯気のたつココアの入ったカップを私の前に置いてソファに座った
私は床に正座してココアを睨みつける
「先生!彼女いないって言ったじゃないですか!」
「は?」
「でも、北川さんにはいるって言った!なんなんですか!?」
「なんなんって...あー北川が授業の後に言ってきたことか?」
「私信用してたのに...」
言いたいことを言って力が抜け私は一粒涙を流した
「おいおい泣くなよ」
「先生、のことは...信用、できるとっ思ったのにッ」
泣きながら訴える私に不死川先生は後ろから抱きしめてくるけど、私は必死に振り解こうとする
けれど、先生の力が強くてそれができない
「あのなぁ、彼女っておまえのことだよ」
「...え?」
「俺はもう付き合ってると思ってたけどな?」
「え、でも...っ先生なにも言ってない」
「あー...俺が悪かった」
不死川先生なにも付き合おうとか言ってないよね
私好きって言ったけど、先生も好きって言ったけど
私たちって付き合ってたの?
「じゃぁ改めて言わせてくれるかぁ?」
「っ、」
「俺と付き合ってくれるか?」
恥ずかしそうに少し小さめの声で私を抱きしめたまま不死川先生はそう言った
私は「うん」と小さく頷く
「誤解、解けたかぁ?」
「な、んか...ごめんなさい」
「俺はびっくりしたけどなぁ。おまえが家に来てくれたかと思ったら怒ってるしよぉ」
「ご、めんなさい...」
優しく撫でてくれるその手は「いいよ」と言ってるようで安心する
「あ、先生?今日あの、弟くんは?」
「あー学校終わってそのままバイト行くって言ってたから帰りは遅いはずだぁ」
「それで呼んでくれたんだ」
「早くりほと一緒にいたかったからな」
「あ、名前...」
不死川先生に下の名前を呼ばれた事と、一緒にいたかったと言われたことと...で頭が爆発しそうになる
「りほも2人の時は名前で呼べよ」
「恥ずかしいですよ」
「呼ばねぇよキスすんぞ」
「呼んだらキスしてくれないんですか?」
私は顔だけ向けると先生はニヤッとして
「どっちでもしてやるよ」
と笑った
