第2章 高校2年の夏ー動く気持ちー
「...ぃ...おい!...高田ー!」
私はその声に目を開いた
「なーにこんなとこでサボってやがる」
「あ、」
いつの間にか寝ちゃってた
重い体を起こして見るとそこには不死川先生がいた
先生は口にタバコを咥えて私を睨んでた
そんな顔をして欲しいわけじゃない
「怒ってます?」
「あぁ!」
あー怒られるのかぁ
「おまえが俺の話の途中でどっか行くからなぁ」
え?サボってることを怒られたわけじゃない?
「んだよ、その顔」
「え、だって...サボってるから怒ってるんじゃ」
「宇髄の授業なんかサボってもなんも言わねぇよ」
それは教師としてどうなのか
不死川先生は私の隣に座る
「おまえがサボるなんて珍しいんじゃねぇ?」
「...初めて、です」
「だろーな。こんな教師が来るようなとこでサボりやがってよぉ」
「なんか...授業受ける気分じゃなくて」
「俺がなんか悪いこと言ったかぁ?」
心配そうに見つめる不死川先生の視線が痛い
なんて言っていいのやら
「別に、先生が何を言おうと私には関係ないんで」
「どういうことだぁ」
「先生は私のいつもの顔のが好きだって言ってくれたけど、それどこの人にも言ってるのかなぁって...思っちゃって」
不死川先生の顔が見れない
なんか、恥ずかしい
「そんなこと気にしてたのか?」
そんなこと、なんて言われちゃった
でも、私にとっては大事なことだった気がする
「そんなん誰にでも言うわけねぇだろ」
その言葉も...誰にでも言ってるんじゃないのか
なんて本当疑い深い自分が嫌になる
子供みたいに膝に顔を押し当てて顔を上げない私
「なんだぁ?俺まだ信用されてねぇのか?」
「信用したい、ですけど...どうしても疑ってしまう」
「どうしたらその疑い深い性格は治るのかねぇ」
私だって治したい
でも、周りがそうさせてくれないんだ
「俺のこともっと信用しろよ」
「...」
「俺は生徒を特別こんなに気にかけたりしねぇよ」
「それは、どう言う意味、ですか?」
「俺にとっておまえは特別ってことだよ」
特別な生徒?
嬉しいけど、どう言う意味?
伏せていた顔を持ち上げると不死川先生と目が合う
「先生って教師ですよね」
「教師の前に一人の人間だ」
「それは...」
「おまえよぉ、自分の気持ち気付いてないのか?」
「は?」
