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赤い糸

第1章 高校2年の春ー転校生ー


翌朝には体調もよくなり学校に行くことができた

私はまだ生徒が少ない朝一に数学準備室の前に行ってみた
でも、そこはまだ誰もきてないようで引き返すように後ろを向いた

「高田?」

その声に私は振り向く
反対側の廊下から歩いてくる不死川先生

「もう大丈夫なのか?」

先生は近づいてきて私のおでこに手を添える

「はい、お陰様で!昨日はありがとうございました」
「まぁ季節の変わり目だからな、気をつけろよ」

不死川先生は今日も優しくて先生の触れた場所からポカポカと温かくなる

「あの、先生にお礼をしたくて...」
「んなもんいいって」
「でも、」
「んなこと気にするより元気に学校来てくれればいいんだよ」

先生はやっぱり先生だ
昨日の男の人の顔をした先生は今日は見ることができない
残念なんて思ってる自分に驚いた
何を期待してるのか
相手は先生なのに

「それじゃ今日の3限目楽しみにしてますね」
「あぁ寝るなよー」
「そんな恐ろしいことできませんよ」

私は笑顔で先生にそう言って準備室から自分のクラスへと戻った

不死川先生が少し優しく気にかけてくれただけで、何を喜んでるんだろう
私は何を期待してるんだろう
先生の特別になんてなった気持ちでいた
私たちはただの生徒と教師でただのご近所さん

でも、この心がもやもやするのはなんだろう

もっと先生のことを知りたい
もっと先生の近くにいたい
そう思うのは、何故なんだろう
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