第1章 高校2年の春ー転校生ー
不死川先生が帰ってしまっていつも通りの静かな家
でも、私はいつもより寂しくなかった
スマホに届く先生からのメッセージ
『ちゃんと体休めろよ』
私を気遣ってくれるメッセージに頬が緩む
部屋のベッドに寝転んでスマホを胸に抱いてると玄関の鍵が開く音が聞こえた
「ただいまー」
兄が帰ってきた
「りほー?」
私は部屋から出て兄を出迎える
「どうした?冷却シートなんて貼って」
「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで」
兄は驚いて私のおでこに貼った冷却シートの上から手を添えてくる
「うわ!シートの上からでも熱いのわかるじゃんか!大丈夫かよ」
「うん、だいぶ体も動かせるようになったから大丈夫だよ」
兄はキッチンに置いてある鍋に目を向ける
「あれ、自分で作ったのか?」
体がだるいのに自分でご飯を作ったことを少し不審に思ったのか兄は私を見てくる
「あ、うん...お腹すいちゃったから気分がいい時に作ったんだよ」
思わず嘘をつく
いけない事をした時のように胸をドキドキとさせながら
「ふーん...熱はあるみたいだから今日はもう寝とけよ?飯は冷蔵庫あるの適当に食うから」
兄の手が頭にのる
優しいけど、先生とは違う
先生の時は温かく感じたのは体温とは違うなにかもっとこう、胸がポカポカする感じだった
兄は冷蔵庫に顔を突っ込み物色しているのを確認して私は部屋に戻った
「...男でも来たのか?」
兄が独り言を言ってるのなんて聞こえてなかった