第5章 大人の事情※
「……わかりました。
それじゃあ……この話を聞いたら私は、
何をしたらいいんでしょうか」
「ん、なにも?」
「えっ」
博士が難しい話は終わりだね!
とばかりに普段の柔和さを取り戻す。
訳が分からずに呆然とその顔を見つめた。
「僕にどうにかされたかったかい?」
「い、いえ……まさか」
「まさかまで言わなくても」
大袈裟に肩をすくめてみせた後に
博士は私を見て首をかしげる。
「いつも言ってるだろう、
何か必要なら言ってくれって」
「はあ」
「僕は君が必要そうにしてたから、
必要な話を持ってきただけだよ」