第5章 大人の事情※
ゲンガーとの仲は
あれからすっかり拗れてしまった。
全く姿を見ないまま
何もない1日が過ぎようとしていた。
「くん、ちょっといいかな」
「……博士」
カガミ博士がわざわざ私の部屋まで
出向いてくるのは珍しかった。
一体何の用かと中に入れると、
予想外の切り出し方をされる。
「去勢なら僕も道具があれば出来るけど」
手にあるのはゲンガーに使っていたアレ。
なぜ一番知られちゃいけない博士の手に
アレがあるのか……!
「きょ、去勢……なるほど」
「さっきも浮かない顔をしてたし、
困ってるのかと思って。
あと研究所周りに捨てるのは困るよ」
「……捨てたんじゃなくて
持ってかれたんですよ」
「なるほど」