第1章 お前のヒーロー☆
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俺の部屋にあんずがいる。
久々過ぎてとても緊張する。
「……あれ、戦隊フィギュア増えました?」
「おお、そうだった!
スタントの仕事で少し収入があってな!
カッコ良かったんで思わず買ってしまった」
そんな話をしながら、撮って見ていなかった
映画を2人で見ながら他愛無い話をした。
映画を見終わって外を見たら暗くなっていた。
いくら夏と言えど、やはりまだ日落ちは早い。
俺の腹が豪快に鳴り、あんずが笑う。
「……ご飯、作りますね。台所借ります」
そう言って料理を始めるあんずを見つめる。
いい彼女を持ったな、なんて思ったのも束の間。
「………あんず、それは」
「今日は麻婆茄子ですよ」
「何故だ!?」
「茄子があるので…大丈夫!
茄子感ゼロにするんで!」
どんなに反対意見を述べても、作るのは彼女。
俺に決定権など初めからないのだ。
どんどん出来上がっていく麻婆茄子を見て
少し、涙が出そうになったのは秘密だ。
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