第1章 お前のヒーロー☆
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「千秋さーん、いい加減機嫌直して下さい」
そんな声が聞こえても応えれる気力が無い。
あんずが作ってくれた物だったし
1つとはいえど先輩として、好き嫌いを
するわけにもいけないと思い食べた。
が。
やはり無理だった。
ゼロどころかマックスで茄子だった。
あんずには悪いが殆どを残してしまった。
「私も好き嫌いはありますし…
でもやっぱり無理矢理出したのは
ダメ…ですよね、すみません……」
申し訳無さそうでも、校門前で会った時より
確実に元気が戻ってるのが分かって
安心した。から、いい、許そう!
「………あんず、好きだ」
「私も、千秋さんの事好きですよ」
「情けない俺を…慰めてくれないか?」
「なんか、おじさんくさいですね」
「いやか?」
「ううん、全然。可愛い千秋さん見れたし」
そう言って口を塞ぐ。
どちらが塞いだかは、分からなかった。
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