第1章 お前のヒーロー☆
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「すまん明星!あんずから連絡が来ていた!
明日の朝練も暑いだろうからちゃんと
水分は持ってくるんだぞ!」
「はいはい、じゃーねちーちゃん先輩。
あんまりあんずの事待たせちゃダメだよ?」
「モチロンだ!」
兎に角、昇降口に向かった。
あんずから来たメッセージは
絵文字がない、シンプルな文字が並んでいた。
"今日、一緒に帰りませんか?"
きっとあんずの事だ。
少し照れながら悩んで打ったと思う。
返信をするより、電話した方が早いか。
すぐに電話を掛けた。
「……あんず!守沢だ!
メッセージさっき見た!すまない!
あんずのクラスまで行ってしまった!
あんずのいる所に行く、今どこだ?」
『あ、千秋さんと入れ違いに
なっちゃったんですね、私も千秋さんの
クラスに行っていなかったんで
校門前にいましたよ。
待ってて大丈夫ですかね?』
「モチロンだ!すぐ行く!」
そう言ってすぐ電話を切った。
……久々に一緒に帰るからか、ステージに
上がるよりも緊張している。
そういえば今日、家に誰もいない事を
思い出した。
なんて邪な、とは思ったが
そんな事よりも早くあんずに会いたかった。
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