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第5章 「まともなお兄ちゃんだと思っていた性癖異常について」


 ひどい。
 けど内心喜んでいる自分がいた。

  を他の人に取られた気がした。
 誰かのモノになったらそれは"兄"ではなくなる。
 男だけど男になって、恋人みたいにイチャイチャしている姿は見たくない。

「じゃあお兄ちゃん童貞なんだ」

「わざわざ言うな」

 一回安心すると笑えてきてしまった。
 こんな格好良い兄でも童貞。
 えっちな画像を見てひとりで悶々としている。

 堪えきれず声を出すとテーブルの下で足蹴りされた。

「食器、俺洗っとくから風呂先入れよ」

「お母さんの点数稼ぎ~」

「そう思ってんのはお前だけ。コンビニでアイス買って来ようと思うけど食う?」

「うん。あれがいい。苺の」

「あれな。分かった。買ってくる」

 キッチンに立った はスポンジに泡を付けて皿を洗いはじめる。
 着替えを取りに行こうとしたは扉の前をウロウロし出した。

「ん…?他になにか欲しいモンでもあるのか?」

「………」

 口を閉ざす。
 は自分でも不思議なほどヘンなスイッチが入っていた。

 直接いうことが出来ず、LINEを送って の顔をみる。

「…ッ」

 ポケットに入っていた携帯を見ると顔色を変えた。
  を表情をしっかり見送った後で、はバスルームで服を脱ぎ始めたのであった。
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