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第1章 「お隣りの整体院」
「んで。今日も肩?」
施行台に横になるの後ろ髪を退け、凝り固まった肩に手を乗せる。
「肩を中心に全身お願いします」
「注文多いな」
「今日はアンタの好物よ」
「あーなに。カレーライス?」
「そ、っう」
施行台の有孔から顔を出し、押されるたびに溜息のような声を吐き出す。
「カレーライスかぁ…。そんな気がしてたんだよ」
「匂い漏れてたからね」
「おばさんの作ったカレーライスは世界一」
「好きだね。お母さんが作ったカレーライス」
「まあな。俺の胃袋はおばさんに握られてるようなもんだし」
この整骨院は元々、 の両親が経営していた。
しかし、親父さんが末期がんを宣告されてから余生を送ろうと夫婦そろって日本一周の旅へ出掛けてしまった。
親の仕事を引き継ぐつもりで働いていた は現状、一人で 整骨院を守っているのだ。
「ホントおばさんには感謝だよ。おばさんだけにな」
強調するように頭の後ろで囁いてくる。
「私だって貢献してる」
「おー。なにが?」
「色々…」
「色々ってなにが。むしろ妨害しかない気がするんだけど」