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第1章 「お隣りの整体院」


「いらっしゃいま…って、また来たのか」

 清潔感のある玄関。
 入り口の横には観葉植物が置いてあり、玄関前にあったスリッパに張り替えた。

「また、って言われるほど来てないわよ。予約いるの?」

「その時間帯狙って来てんだろ」

「いいじゃん。暇なんだし」

 ここは実家隣りにある整体院。
 涼しげな白衣を着た はの顔を見るなり鬱陶しさを露わにした。

「なによその顔」

「その顔させてんのはお前だろ。金払え」

「はあー疲れた」

「おい」

 は肩に手を置きながら施行部屋に向かっていく。
 すると受付から出てきたスリッパの音が聞こえた。

「勝手に上がんな」

「仕事で疲れてんの」

「俺だって疲れてる」

「仕事でしょ」

「だったら金払え」

  の言い方が気に食わず、目くじらを立てて振り返る。

「な、なんだよ…」

「晩御飯作って持ってきてる。いいでしょ少しくらい」

「はあ?だってあれはおばさんが」

 は否応なしに施術台に横になる。
  はに言い負かされたように渋々準備を始めたのであった。
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