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第11章 「オレは男だ!!~最初で最後の俺の女になってくれ~」



「これで良いだろ。あとで にもちゃんと礼言って来いよ」

「………」

「返事は?」

 そう言われるも自分を女だと認める気がして睨み返す。
 綺麗に巻かれた包帯。
 この程度の傷で済んだのは体格の良い が気絶してまで死ぬ気で庇ってくれたからだ。
 少数相手だったら未だしも多勢に無勢だった。

「胸クソ悪ィ…」

 思い出したら腹が煮え滾ってきた。
 抵抗しないからって の上からドスドス蹴りやがって、全歯折れるまで殴り倒してやりたい。

「後日、俺らが総出でとっちめに行く。どちらにせよ潰す理由が増えただけだ」

「オレも行く」

「ついて来てもいいがそれで最後だ」

「はあ?!なんでだよっ!!」

「俺はこれ以上、を傷付けられたくねーんだ」

「オレを"モノ"扱いすんな!!」

「俺の大事な"女"なんだよ!!ッ……くそ、 がいなかったら今頃そーいうことになってたんだぞッ。分かれよッ…。強暴ゴリラのままでも構わねーから頼むから女になってくれ…!!」

 久々に聞いた。
 小学生の頃のあだ名:強暴ゴリラ。
 でも、全然嬉しいあだ名じゃなかった。

 たまたま男兄弟で育って負けん気が強くなって、喧嘩っ早くなって、男の子をぶっ飛ばしたら揶揄われるように付けられたあだ名。
 自分はほかの女の子とは違う。
 キャーキャー言ったり、アイドルの真似をしたり、オシャレを覚えたり、色恋話をしたり、すべては対照的に見えてしまって同性との劣等感からケンカに明け暮れた。

 …ほかの女の子とは違う。

 自分は男なんだと言い聞かせて、そして、何気につるんでいた たちが暴走族という男の輪に認めてくれたのだ。
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