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第9章 「初めての海外旅行!inフランス」



『(そこに座って?)』

「メルシ」

 フランス語で「ありがとう」の意味。
 座るところも他になく、手で案内されたジェスチャーを信じてベッドの上にちょこんと座る。

 ワンルームのアパートメント。
 ここに着くまでの間、カタコトの単語やジェスチャーのやり取りでなんとか自己紹介を済ませた。
 彼はパリ市内に住む 、年齢は四つ上。
  の母国語はフランス語で英語はより話せるが挨拶程度。
 お酒は飲めないと首を振ると炭酸ジュースを出してくれた。

ギシ…

「っ」

  が隣りに座ると熱気があった。
 フランス人は体温が高いのか無性にカラダが火照ってしまって、湿った汗と心拍音が止まらない。

『』

「……!!」

 喉を潤すとジッと瞳を見詰めてきた。
 蛍光灯の灯りで の瞳は美しいヘーゼルグリーンだと知った。
 まつ毛も長くて羨ましい。
 鼻も高くて、色気があって、顔のホリも深くて…、両手で頬を包み込まれると耳を擦るように愛撫される。

(こ…これは……)

 息が掛かるほど見つめ合う。
 ほんの少しのアルコールの香りと、バニラやハニーのような甘くて優しい香水に意識がうっとりしていく。

チュパッ

『』

 距離が無くなると唇に一瞬吸い付いて離れていく。

「 …」

チュパ チュパ

 名前を囁くと何度も吸い付くようなキスを繰り返し、上半身をセクシーに撫で回されるやさしい手つき。

「はぁ…」

 キスは初めてじゃないのにクラクラする。
 不意に顔を離されるとドキッとして、ヘーゼルグリーンの瞳で見つめてくる。

『(君の瞳に恋してる)』

 真剣に見つめられてチュパッと音を鳴らす。
 なんて言っているのか言葉は全然伝わってないけど、唇の感触を楽しむようにチュパチュパ吸い付かれ、緊張がほどけてくると肩から背中へと腕がまわった。
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