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第8章 「万引きしたらハメ撮りされた」
レジに立っていた男が店長らしい。
まだ店内に客がいるのに、しかも会計している最中だったから客と目が合い、万引きした小娘だと拡散されてしまう。
「ッ……」
「裏行って、まずは親御さんに連絡するから。奥で話そう」
見逃してくれるって言ったのに騙された。
ここで走っても脚力に自信ないし、手首を掴まれているから腕力でも敵わない。
(この卑怯者……!!)
スタッフルームまで連れて来られて男はガタッと大柄にパイプ椅子に座った。
客扱いされる訳もない犯罪者扱い。
名札をみると『 』と書いてあった。
「なに。その反抗的な目付き」
「うそつき」
「は?なにが?」
「見逃してくれるって言った」
「ははっ!んな証拠どこにあんだよ」
「聞いたし、アンタがそう言った」
「アンタじゃなくて" さん"な。口の利き方気ィ付けろよ」
「………」
「なに。怒ってだんまり?調子悪いとすぐ黙るよな。名前は?生徒手帳出せよ」
「………」
生徒手帳を出せば今度こそ終わる。
親にも学校にもバレて真面目ちゃんから不良に転落。
高校生でも警察に行くんだっけ…?
どうしよう。
そこまで知らないし分からない。
でも未成年の万引きだからそんなに"重い罪"にはならないはず。
「………これ」
「は?なにこれ。俺、なに出せって言った?」
「これで、見逃してください」
が出したのは財布に入っていた千円札。
お釣りの部分で見逃してほしいと静かに語った。