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第6章 「レディース総長とロン毛隊長」
「そのロン毛、いつから伸ばしてんの?」
「たぶん を立ち上げた時から」
「っていつ頃?」
「んとぉ…三年。でも思い出したらウザくて何度かぶった切ってたわ!」
「だと思った」
特にロン毛の意味はなさそうだが元々長めが好きらしい。
髪の乾かし方も上手で頭を撫でられ、大切にされてるようで心地よかった。
「よし。これでサッパリしたろ」
「ぁりがと…」
「どーいたしまして!」
はコンセントを束ねながらの顔をジッと見てきた。
心拍音が騒ぎだす前に目を逸らす。
「それ、男にやられたのか?」
「…!」
の指が顎下の傷痕に触れる。
「痛むか?」
「いや……これは」
男に付けられたものではない。
そもそも男に走ったり甘えたりするのには抵抗があった。
故に見るだけで十分。
それくらいの気持ちでしかなく、それくらいの気持ちに抑え、好きな男とか気になっている男の名前だけでも絶対に口には出来なかった。
「悪ィ。ちょっと気になってな」
「…親」
「?」
「…バツ、だって…」
小さすぎて記憶にはない。
ただ、その頃から自分と他人の母親が違うことを薄々感づいていたと思う。
「できない子には…罰印をって…」
「………」
厳しい躾けの一環で顔を傷けられた。
罰印にはならなかったけど母の笑い話でカミソリで罰則を受けたことを知った。
自分は親に愛されない。
こんな傷モノの女なんて誰からも必要とされない。
恋愛の文字にさえ相手にされない。
考え出すとだんだん閉鎖的な気持ちになって、仲間を応援したり、微笑ましいカップルをみて醜い鏡の自分を見つめ直す。
「っ…」
すると突然顔の前に影が現れた。
身を引こうとした時にはもう手遅れで、 の形のよい唇がコンプレックスの傷痕に触れていたのだった。