第23章 本当の名前を4
シンside
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夜、ご飯を食べ終えた俺は自室にてキルシュブリューテの欠片に名前を遺していた
ピッ
すると、不意にパラレイドが起動する
ハン『…』
シ「…」
相手はハンドラ・ワン。同調の対象はどうやら俺1人らしく先程から無言
シ「……何かご用でしょうか。ハンドラー・ワン」
ハン『……あの、あのアンダーテイカー。今、よろしいでしょうか…?』
シ「ええ。どうぞ」
ゆっくり話す彼女に対し、淡々と返す
ハン『…ごめんなさい。昼間の事も、これまでの事も。本当に、すみませんませんでした……あの』
ひと息置きながら続けて話すハンドラー
レーナ『私はレーナ。ヴラディレーナ・ミリーゼと、言います。こんな、今更ですけれども……貴方達の名前を、教えていただけませんか…?』
シ「………ラフィングフォックスの言った事を気にされているのでしたら、それは不要です。
別にあれが我々の総意という訳ではありません。この現状を貴方が作り出したのでもなければ、貴方1人の力で撤回できるものでもないという事は分かってます。
貴方には、不可能な事をしなかったと責められたからと言って気に病む必要はありません」
いつもの感じで、無関心な口調で話す。
レーナ『でも。……名前を知ろうとしなかったのは、私の非礼です』
シ「それも必要ないからでしょう。何故、レギオンには傍受出来ないパラレイド化でコールサインの使用が義務付けられ、プロセッサーの人事ファイルも開示されないのだと思いますか?」
レーナ『…ハンドラーが、プロセッサーを人間に考えずに済むよう、ですね』
シ「ええ。大概のプロセッサーは一年も経たない内に死ぬ。その大量の死をハンドラー1人が負うのは負担が過ぎると、そう考えたのでしょう」
レーナ『それは卑怯です!私はっ……』
ハンドラー・ワンは、一度言葉を止めながら静かに続きを話す
レーナ『…私も、卑怯でした。正直このまま逃げてしまおうかと思いました。
でも、卑怯なままでいたくない。ですから名前をっ、貴方達の本当の名前を、教えていただけないでしょうか』
存外に頑なに、意志を曲げずに話す彼女に嘆息をつきながら話す