第16章 死にたくない7
貴方side
カ「そういえばそうだったかもしれないな。こちらの夜は、本当に真っ暗なんだ。
人は少ないし場所も離れてるし、寝る頃には灯火管制がかかる。だからこちらは普段も星が綺麗だ。
それは間違いなく、ここでの暮らしの良い所だ」
ハン『…良い、所?』
カ「そ」
ハン『…』
カ「…?」
ハン『キルシュブリューテ………私達を、恨んで居ますか?』
全「…」
ハンドラーが言った言葉に、カイエだけではなく私達も少なからず反応していた
カ「……それは、勿論差別されるのは辛いし悔しい。収容所での暮らしは辛かったし戦うのは怖いよ。
だからそれを私達に押しつけて、86は人間じゃなくて家畜だから構わないとか言うような奴等の事は、やっぱり好きにはなれないな」
ハン『…っけど…』
カ「けど。アルバの全員が全員、悪人じゃないのも分かってるんだ……86の全員が、必ずしも善人ばかりじゃなかったのと同じように」
ハン『…え』
ハルトとトランプをしながら、ハンドラーに話しているカイエの話を聞いていた
カ「私は86の中でも、珍しい人種だったから。収容所でも以前の隊でも色々あったよ。勿論、私だけではないけど」
ハン『…』
カ「同じようにアルバにも良い人が居るのは、まぁ私は見た事ないけど仲間の何人かは知っているから分かってるんだ」チラッ
セ「…」
カイエは、チラリとセオを見る。セオは一度見たが絵に視線を戻す
カ「…だから、アルバというだけで恨んだりはしない」
ハン『そうだったのですか…では、私はその方々に感謝しないといけませんね』
カ「…ハンドラー・ワン。貴方に少し興味が湧いてきた」
ハン『!本当ですか!?』
カ「私からも1つ聞いていいかな」
ハン『はい、何でしょう』
カイエは立ちながら質問した
カ「…どうしてそんなに、私達の事を気にするんだ?」
貴「…」
ハン『…それは、昔貴方がたと同じプロセッサーの方に助けて頂いた事がありまして』
ゆっくり昔話を話すハンドラー
ハン『彼は私にこう言ったんです。
"俺達はこの国で生まれてこの国で育った、共和国市民だ。国を護って戦うのは市民の義務で誇りだ。だから俺達は戦うんだ"』
貴「…」