【呪術廻戦】Gentil Infection【五条悟】
第1章 五条悟も風邪を引く
スプーンにキスしたのかな、と思ったら温度確認か…って適温じゃフーフーして貰えない。丁度良いのも良くない。
今更温め直してフーフーからやり直しなんて要求は、わざわざ寮まで戻って来てくれた彼女には酷だと流石の僕にも罪悪感が生まれてる。
渋々口を開けると突っ込んでくれた。咥えて入れば引き抜かれていくスプーン。食べやすい、丁度良い温度で鮭の他にもネギや卵も入ってる。
「ん、美味しく作れてるねー良いお嫁さんになるよ、キミ」
『はいはい寝言は寝て言ってねー……これさ、ほぼお昼のおかずが粥の材料。それでも手間掛けちゃったから朝食はおにぎりを食べながらダッシュで学校向かったわ。……あっもちろん遅刻は回避したよ?』
ちょっとドヤ顔をしながら鮭粥(…卵粥とも言うかも)のふたくち目を僕の口に入れる。
「んっ……、それ胸キュンな出逢いが始まる予感しちゃわない?大丈夫?おにぎりだから棘とイベント起こったりしてない?」
『ラップに包んだおにぎりをちまちま食べながら猛ダッシュするやつと何が始まるってんだ、ロマンもなんもないでしょ……ほら、まだ食べられる?』
……もぐもぐと食べながらなんか違うな、と思えてきた。いや、美味しいけれどさ。なんだっけこういうの。
僕としてはちょっとイチャコラしながらにふー、ふーって冷まして貰った後に、『はい、悟っ…あーん、して?』って来られた後に「あーん……うんっ!美味しいな~、もっと!」みたいな背景にお花やハートを散りばめたような甘いひとときを想像してたのに。
黙々と茶碗と僕の口を行き来するスプーン。
「これさー……介護じゃね?おじいちゃんご飯よーってヤツだよね?」
『介護?看病って言って欲しいな、ほら次が控えてるよ、食べられるうちに食べて栄養摂っとく』
ずい、と顔前まで運ばれたのを顔を横にして僕は拒否した。
「やだ。あーんして?ってが言ってくれないんだもん。ちょっと甘える感じで言って欲しいんだけれど?」
『………チッ』
「あっ!今舌打ちした!舌打ちしたね!?」
を見ればちょっと俯き掛けている。意を決したように顔を上げて先程と同じくお粥を口元に運ぶ、けれどさっきとは違うのは。
『ほら……あーん、して』
あ…これだわ。