【呪術廻戦】Gentil Infection【五条悟】
第3章 Gentil Infection
──朝がきた。
「……おはよ」
『んー…おはよ』
寝起きに目の前に顔面の良い男が居るのは心臓に悪いな、と思いながらふと笑った。そんな私に悟も笑う。
「ねえ、今の調子はどう?」
『んー、そうだね熱は分かんないけど頭痛も吐き気も無いよ、だるさはあるけど』
もぞもぞと体を動かすも悟はなかなか離れない。
ぎゅっとしがみつくようにしている。これは困ったものだ。
『体温計取りたいんですけど?』
「額……ごっつんこする?」
額をぴたりと当てられた。今熱いとするならば悟の方で私の方はさほど高くなさそうで。
そのままに優しく口付けられて離れる顔。腕の拘束も緩み、その間に近くの体温計を取って計り始めた。
そんな私の様子をじーっと間近で見ている悟。……そんなに見られると穴が開くわ。
ピピピ、の音で引き抜けば通常の私の体温になっていた。ああ、ホッとしたけどだるさは残ってるから油断はしないようにしよう。薬はしっかりと飲むべきで。
……なんだか、呪術と関係なく普通の生活していた時を思い出したなぁ。兄や父が世話してくれたっけ。そしてそのふたりが風邪を引いて私が介抱するってオチ。だからこそ家族の絆は強く優しくし合える。
悟の介抱した時も少しばかり家族を思い出していた、たまにはあのふたりに元気してる?って連絡をしてあげないとなぁ……。
『ふふっ……たまには風邪を引いてみるもんだねー』
……昨日みたいに特別優しくしてくれるし。
私の言葉に悟はすっごく嫌そうな顔をした後に困った顔になり、更に真剣な表情へと変えた後に最終形態の真顔になった。その表情の変化で何を考えていたのやら。
「いや、例え風邪でも術式で治せるのなら今度からは術式でパパッ!と治しなさい。キミ呪術師でしょ?」
『あっれ~~?』
一昨日の悟は何処へ消えた?というレベルで意見が変わってしまった。やっぱりあれは熱でおかしくなってたのか?でも翌日は治すな看病するって言ってたし……。
…もしかして昨日の私の介抱に手間を掛けてしまったかもしれない。いや、髪とか大丈夫だったし寝ゲロとかしてない、よね…?何も食べてなかったから余計にそれはナイ。
悟が言うのなら術式が一番良いんだろう、と結論付けて私はうん、と頷いた。
──Gentil Infection
(読み:ジャンティー・アンフェクシオン)
(訳:優しい感染)