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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第8章 ギルドの巣窟 ダングレスト


地下牢に罪人を入れることはあっても入れられるのは初めてだ。しかし陰鬱とした気持ちもなくフレンは待っていた。時折聞こえる他の罪人の声を無視して聞きなれた足音を。
「ユーリ、か……」
地下牢の石床では良く響く。入口を振り返らずに問えばおどけた声が返ってきた。
「おおっ?なんだ、静かに入ってきたのに、もうバレたか」
「僕の無様を笑いにきたんだろ」
「そうそう、どんな神妙な顔して捕まってるか、見にな」
相手にはせず自嘲するがユーリはそのまま牢に手をかけた。
見張りはどうしているのだろうか、一瞬考えたが他には何も聞こえないので漸くユーリに向き直る。
「牢屋にぶち込まれる立場もたまには悪くないもんだな」
軽く言って見せればあからさまにユーリの表情に安堵が浮かぶ。心配してくれているらしいと思えばかなり気分が良くなった。しかし未だ状況は良くなってはいない。
「あんな物騒な書状を持ってきておいて、何、呑気なこと……」
「あれは赤眼どもの仕業だ。ユーリと別れた後でまた襲われたんだ」
無意識に喉元に手をやる。
あの時のウィチルの状況を先頭のフレンは見ていない。赤眼がああいったことのエキスパートであることは明らかだ。
「らしくねえ、ミスしてんな。部下が原因か?」
「それも含めて僕のミスだ」
「そうかい」
途端につまらなさそうにユーリが頭の上で腕を組む。模範的解答が気に入らないのはいつまで経っても変わらないようだ。
自分だって同じように考えるくせに。フレンは内心で笑う。
「けど、赤眼どもってことは裏にいんのはラゴウだな」
ユーリの口からラゴウと赤眼が繋がっていることが出てきてフレンは驚いた。
話を聞けばカプワ・ノールで密通していたところを目撃したらしい。
しかしやはりユーリたちの証言ではラゴウを有罪にすることは難しいだろう。歯噛みをして、しかし今は目の前の問題に向き合う。
ユーリに彼らの目的がギルドと騎士団の武力衝突とそれによる弱体化であることを告げる。恐らく騎士団にも似たような偽の書状が送られているだろうことも。
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