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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第8章 ギルドの巣窟 ダングレスト


ダングレストの街はすでに落ち着きを取り戻していた。フレンに気づく人間も少ない。
「それで、フレンは何を知りたいの?」
「そうだな……中途半端だと面倒だからギルドやダングレストについて全部かな」
声につられて屋台のほうを見ながら答える。
「歴史の勉強は長いわよ」
「それじゃあ飲み物を買おうか」
「そういえばフレンは下町育ちだったわね」
存外この街に馴染んでいることについて言っているらしい。
褒めているのか貶しているのかわからないので最近は忙しくて戻っていないけれどと曖昧な返事をした。
とりあえず当たり障りのない果物のジュースを買って手渡す。
「そうねぇ、ギルドそのものは結構前からあったわ。その頃はただ帝国を嫌って自由に生きたいニンゲンたちの集まりで、ギルド同士の結束は弱かった。それで数十年前にダングレストが帝国に制圧されて」
「ギルドの横暴が目に余るようになって帝国が統治しようとした、と習った」
細かい理由は知らないわ、とは平坦な声で言い、露天商を覗いた。フレンの目に赤色の石が付いた羽飾りが映った。似合そうだなとぼんやりと思う。
「ギルドは自分たちが利益を追求しすぎて自由を忘れてしまったことが原因だと考えたんですって。それで彼らは誓約を立て、一丸となって帝国に対抗し、ダングレストを奪還した」
羽飾りには興味を示さずは露天商を離れるとユニオン本部を見上げる。
「その時にできたのがギルドの連合組合、ユニオンか」
「そう。それから『ユニオン誓約』……ドンやアイフリードたちが立てたユニオンの誓いね」
「アイフリード……ブラックホープ号事件の」
その名前はフレンも聞いたことがある。『海精の牙(セイレーンのキバ)』の首領で今は大罪人だ。
「その辺りのことは管轄外だけれど、ユニオン誓約は少しだけ覚えているわ」
そうしては歌うように諳んじてくれた。
「我らの剣は自由のため。我らの盾は友のため。我らの命は皆のため」
「我らの剣は……自由のため」
その声も言葉もフレンにはとても心地よく思えた。
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