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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第8章 ギルドの巣窟 ダングレスト


平野に出ると呆気ないほど追撃がなかった。それでもかなりの距離をとってから馬を止める。隊列を整えて損傷を確認すると怪我人は多いものの被害は大きくない。
「ソディア!」
「無事です!多少手傷を追わせられましたが……」
「ウィチル、書は?」
「ここに」
途中敵に襲われ落馬しかけたと言うがソディアのお陰で彼も無傷に近い。書を受け取ってフレンたちは応急処置をするとすぐにダングレストに向かった。
帝都に次ぐ大都市は平原に出た時から遠目に見えていたが、近付いていくにつれて空が赤紫に染まっていく。
「まだ夕暮れには早いのに」
「ダングレストにある結界魔導器の影響で太陽光が屈折しているんです」
ウィチルの説明に一行は納得して頷く。
「ユニオンに協力を仰ぐのであれば五大ギルドの元首『天を射る矢』(アルトスク)を束ねるドン・ホワイトホースに会うことね」
「そんなに簡単に会えるものなのか?」
ソディアが尋ねるとは微妙な表情を見せた。
「じっとしている人じゃないし、相手が騎士様だから難しいでしょうね」
「行ってみるしかないだろう。傷の浅い兵を連れて行く」
「案内するわ」
言葉通りが先頭に立つ形で町に入る。カプワ・トリムよりも更にギルド色の強まった、帝都に次ぐ第二の街にして大小様々なギルドのほとんどを統治するダングレストはどことなく下町に似ているようにフレンには感じられた。
しかしやはり帝国騎士に対する人々の視線は鋭い。あからさまに悪態をつく者もいる。ソディアを宥めながらフレンたちは一番大きな建物の前に辿り着いた。
門の横に傭兵らしい男が一人立っている。しかしラゴウ邸にいた傭兵ほど陰湿な雰囲気や敵意は感じられない。
「ん?なんだおまえたち」
「帝国の使いなんだけど、ドンはいる?」
が問えば傭兵は首を振った。
「ドンなら哨戒に出てるよ。そのうち戻ってくると思うがまた来てくれ」
「わかったわ、ありがとう」
あっさりと引き下がるとはこちらを向いた。
「ドンも日が暮れたら帰ってくるでしょう。出直しね」
何だか妙な言い回しだが受け入れるほかないので踵を返す。肩透かしを食らったような気分だ。ウィチルがあからさまに詰めていた息を吐き出す。
と、その時、地面が微かにしかし不自然に揺れた。
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