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テイルズオブヴェスペリア フレン夢

第6章 港の町 カプラ・トリム


カプワ・ノールに残っていた騎士を回収し、この街を取り仕切る『幸福の市場』に挨拶をし、町の外に野営地を形成したフレンが戻ると滑り台のそばにがいた。
時刻はもう夕方から夜に近づいている。
「、何をしているんだ?」
「散歩だけど」
どうやら今までずっとふらふらしていたようだ。ユーリと違ってトラブルを起こすようなことはないと思うが気にはなる。
「心配は無用よ。それよりもお友だちはカルボクラムの方に向かったみたい」
「カルボクラム?」
「以前『紅の絆傭兵団』の拠点だった場所よ。今は地震とかで、廃墟だけれども」
そうか、と呟いて口を噤む。
「さっきのこと思い出しているの?」
ずばり言われてフレンは返答に困った。嘘などはつけないし、今更何か言うのも言い訳じみている。けれど彼女は何でもないように続ける。
「大丈夫よ、お友だちもわかっているわ」
「え……」
思わぬ言葉につい声が出る。
「もどかしいのよ。あなたが光り輝いて見えるから尚更ね」
がお友だち、と言うのはユーリのことだ。
そう、彼女はフレンのことですら名前で呼ばない。線引きされていることを実感して、フレンは思ったままを口にした。
「……そんなことはないんだ。本当に輝くべきはユーリで、私はそれまでの繋ぎだ」
「あなただってこの世界の横暴に耐えて、それでも前を見ている」
違う?と問いかけられると違う、とは言えない。
「前にノールでお友だちやお姫様に自由であってほしい、と言っていたけれど、あなたはどうなのかしら」
「僕は……」
それ以上何も言えずに言うとフレンを一瞥しては立ち上がる。
「寒くなってきたわね。宿に戻りましょう」
言うだけ言って満足したのか振り返りもせず歩き出してしまう。慌てて追いかけるがもはや彼女は何かを口にする雰囲気ではなかった。
「君は、不思議な人だな」
小隊長としての口調も忘れて言うと、は静かに微笑んだ。
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